AIやITが台頭してくる時代においては「営業」という仕事がなくなるということを目にします。
僕は概ね賛成ですが、正確には「営業の大部分は消え、営業の一部は残る」と考えます。
僕は世の中的には営業力が強いとされる会社にいますが、今回は「これからの時代を生き残る営業」に関して、個人的な見解を述べていきたいと思います。
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4タイプ別営業の種類
そもそも営業ってどんな種類があるのか、そこを整理していきましょう。有形無形、個人法人などいろいろな分類方法はありますが、今回は下記4パターンで分類してます。
- 御用聞き営業
- 商品提案営業
- ソリューション営業
- インサイト営業
それぞれ特徴を解説していきます。
1. 御用聞き営業
御用聞き営業とは「待ちスタイルの営業」です。
顧客から「この商品が欲しい」「このサービスを受けたい」と要望を受け、それを聞きに回って与える仕事が御用聞き営業です。
既に取引のある企業へルートセールスの形で訪問する、顧客から呼ばれて訪問する、そして用意された商品・サービスを提供する。これが御用聞き営業です。
2. 商品提案営業
商品提案営業とは、「攻めスタイルの営業」です。
電話営業、飛び込み営業などで顧客に対してアプローチを仕掛け、自社の商品を売り込むスタイルの営業です。
提案営業は基本的に商品やサービスを売ります。商品やサービスの特徴、魅力を伝え購入してもらう。ざっくりいうとこれが商品提案営業です。
3. ソリューション営業
ソリューション営業とは、顧客が抱える顕在している問題に対して、一緒に問題解決をしていく営業です。
ソリューション営業の特徴は、「既に問題が浮かび上がっている点」です。顧客が既に問題を認識していて、「これを何とかして欲しい!」と要望を受け、問題解決をしていく営業がソリューション営業です。
4. インサイト営業
そして最後、深い仮説と分析により、顧客が抱える真の問題を特定し、問題解決をするのがインサイト営業です。
インサイトとは「洞察」のことです。インサイト営業は、深い洞察力をもとに、まず「顧客の問題を特定する」ところからスタートします。問題を特定し、その問題解決の手法を、自分たちの持つ商品やサービス、時には自社以外の手法も考慮した上で、最適な提案していく。これがインサイト営業です。
御用聞き営業、商品提案営業、ソリューション営業はこれから淘汰されていく
さて、僕はこのうち3つ、「御用聞き営業」「商品提案営業」「ソリューション営業」はこれから淘汰されていくと思うんです。理由は単純、高いスキルがなくても、ちょっとやれば誰でもできることだからです。
御用聞き営業はその極みです。御用聞き営業はそもそも販路が確立されているわけで、相手の依頼を聞いてその通りにやっていればいいだけです。商品やサービスを提供して、はい終了。これでは何のスキルも身につかないし、そもそも誰でも代わりにできます。身につくのはフットワークの軽さくらいでしょうか。
商品提案営業もそう。商品提案営業の仕事は「商品を売ること」です。でも実際、商品を売るだけなんて、別に人がやらなくても良いんですよ。だって今はインターネットがあるから。そもそも欲しい商品は大体ネットで買えますし、買えることを多くの顧客は気付いています。商品説明だって、心理学に基づいたセールスレターを書いたほうがまず売れます。つまり、”商品を売るだけ”なら、営業マンが介在する価値がないんです。だからこれから淘汰されていきます。
ソリューション営業は上記2つより仕事のハードルは上がりますが、それでもこれから価値は下がっていくと僕は思います。なぜなら、ソリューション営業は”顕在している問題”を解決しているにすぎないからです。この”顕在している”という点がミソです。なぜなら、今の時代、問題さえわかれば解決策はいくらでもネットなどで調べられるからです。
ネットに解決策が落ちているなら、そもそもあなたに解決策を聞く必要はないんです。だって無料で調べられるんだから。いまは調べる手間代で営業が存在しているようなものです。そして、調べる手間代として営業を使っているだけなら、遅かれ早かれその必要もなくなるんじゃないかと思います。だって、ネット上に落ちている答えを見つける能力は、AIの方が人間より得意だからです。
「アナタノカカエテイルモンダイノ、カイケツホウホウハコレデス」っていう感じで、AIなりロボットが答えを提示してくれる時代は近いうちに来るでしょう。僕が知らないだけでもうあるのかも。そしたらソリューション営業の価値は消えます。きれいさっぱりと。
ここまで述べてわかったでしょうか?上記3つの営業の問題について。
上記3つの営業の問題は、「問題特定ができないこと」です。顧客が抱えている真の問題、「顧客すら気づいていない真の問題を特定すること」が、これからの営業の価値です。僕はそう思います。
インサイト営業ができる人の価値
なので、これからはインサイト営業ができる人の価値は上がります。間違いなく。
あらゆる現代のビジネスにおいて、一番大きなネックになっているポイントは、「問題がどこにあるかわからないこと」です。あらゆるビジネスは、問題を特定さえできれば、90%解決したようなものです。でも、その問題がどこにあるか、顧客はわからない。これが問題です。
だからこそ、インサイト営業が求められるんです。顧客すら気づいていない潜在的な課題、潜在的なニーズを掘り起こす。そういう営業は今もこれからも求められ続けるし、それができる人の価値は高まっていくと僕は思います。
インサイト営業ができれば個人で稼ぐ生き方もできる
インサイト営業ができるようになると、まず就職・転職市場で価値が高まります。でもそれだけじゃない。インサイト営業ができるようになると、組織に属することなく、「個人で稼ぐ」という働き方も選べるようになります。
起業するのに重要な要素を一つ挙げるとしたら、「人が見えないものを見る力」だと僕は思います。ありふれた日常の中で「不」を見つける力。「問題」を見つける力。インサイト営業は、その能力を養うことのできる仕事です。
起業・独立希望者は、インサイト営業ができるようになると、たくさんの優良顧客を持つことができると思いますよ。ブログでもWebでもインサイト営業で身につけたスキルは活きますし、いまインサイト営業をしている人は、将来の選択肢が広がるキャリアを歩んでいると僕は思います。
もしいま御用聞き営業、商品提案営業、ソリューション営業のいずれかをしていて、それでも営業を続けていきたいと思うなら、転職をしてインサイト営業のスキルを伸ばしていくことが良いんじゃないかなと、個人的には思います。